Gitを使うための第一歩はインストールですが、初心者にとっては少し難しく感じるかもしれません。本記事では、Windowsに特化して「最短で」「迷わず」導入できる方法を丁寧に解説します。
WindowsでGitを導入して得られる3つのメリット

この章で解説するポイントは以下のとおりです。
- 開発環境が整い、学習をスムーズに進められる
- チーム開発やバージョン管理をすぐに体験できる
- Linuxやクラウド環境でも安心して利用できる
WindowsにGitを導入すると、学習や開発の取り組み方が大きく変わります。特に初心者にとっては「環境を整えること」が最初の壁です。この章では、導入によって得られる3つの利点を整理し、実際の活用イメージをわかりやすく示します。
開発環境が整い学習をスムーズに進められる
Gitを導入すると学習効率が大幅に向上します。多くの教材や学習サイトはGitを前提として解説しているため、導入していないと手順どおりに進められず、途中でつまずく可能性が高くなります。
また、コードを保存・管理する流れを自然に習得できるため、初期段階から現場に近い環境で学習できます。さらに、履歴を残せることで「不具合が出たら元に戻す」といった試行錯誤も可能になり、安心して学習を進められるのが大きな魅力です。
チーム開発やバージョン管理をすぐに体験できる
Gitは一人で使う場合でも、チーム開発に近い体験を提供してくれます。変更履歴を残すことで「誰が、どこを修正したか」を正確に把握でき、誤って編集しても簡単に元に戻せます。
さらに、GitHubなどのサービスを組み合わせれば、複数人で同じプロジェクトを扱う状況をシミュレーション可能です。現場では同時に複数人がコードを編集するのが一般的であり、この仕組みに慣れておくことで実務への移行もスムーズになります。学習段階からバージョン管理の概念に触れることで、将来のスキル強化にも直結します。
Linuxやクラウド環境でも安心して利用できる
GitはWindowsだけでなく、LinuxやmacOS、クラウド環境でも標準的に利用されています。そのため、Windowsで基礎を習得しておけば、将来的に環境を変えても問題なく対応できます。
特に近年はクラウド上の開発が増えており、その多くはLinuxベースです。あらかじめWindowsで使い方に慣れておけば、学習や仕事の幅を大きく広げられます。環境が変わっても「コマンドの基本は共通」という安心感があるため、スムーズに作業を続けられ、新しい技術にも柔軟に対応できる力を身につけられるでしょう。
WindowsにGitをインストールする3ステップ
この章で扱う主なポイントは以下のとおり。
- インストーラーをダウンロードする
- インストーラーを実行し、推奨設定で進める
- Git Bashを起動してインストールを確認する
WindowsにGitを導入する際の手順は大きく3ステップに分けられます。初心者でも迷わず進められるよう、公式サイトからのダウンロード方法からインストール確認までを順序立てて解説。特に、設定画面で出てくる選択肢に戸惑わないよう、最低限の推奨設定を案内しながら説明していくので安心です。
インストーラーをダウンロードする
GitをWindowsに導入する最初のステップは、インストーラーを入手することです。
Gitの公式サイト(https://git-scm.com/)にアクセスし、「Downloads」をクリックします。


「Windows」をクリックします。


「Click here to download」をクリックしてGitのインストーラをダウンロードします。


のようなインストーラファイルがダウンロードされます。
インストーラーを実行し、推奨設定で進める
ダウンロードされたインストーラを実行します。
最初に表示される画面では「Next」ボタンをクリックします。


Gitをインストールする場所の設定です。指定したい場所がなければデフォルト設定で問題ありません。
「Next」ボタンをクリックします。


Gitのどの機能を入れるかを設定する画面ですね。ここもデフォルト設定で問題ありません。
「Next」ボタンをクリックします。

主なチェック項目の意味(簡単に)
- Additional icons
→ デスクトップやクイック起動にアイコンを置くかどうか。お好みで。 - Windows Explorer integration
→ フォルダを右クリックしたとき「Git Bash Here」や「Git GUI Here」が出るようになる。便利なのでおすすめ。 - Git LFS (Large File Support)
→ 大きなファイル(動画や画像など)をGitで管理する機能。今は不要でもチェックしておいてOK。 - Associate .gitconfig / .sh files …
→ 設定ファイルやシェルスクリプトを関連付け。チェックのままでOK。 - Check daily for Git for Windows updates
→ 自動更新チェック。つけても外しても可。 - (NEW!) Add a Git Bash Profile to Windows Terminal
→ Windows標準の「ターミナル」アプリでGit Bashをすぐ開けるようになる。便利なのでおすすめ。 - (NEW!) Scalar
→ 大規模なリポジトリを扱う特別なツール。通常の開発では不要なので外してもOK。

Gitのショートカットをスタートメニューのどこに作るかを選ぶ画面です。
デフォルト設定で問題ないので、「Next」ボタンをクリックします。


Gitでテキスト編集するときに使うエディタソフトを何にするか選ぶ画面です。
おすすめは「Visual Studio Code」なので、ここでは「Use Visual Studio Code as Git’s default editor」を選択します。
※「Visual Studio Code」を入れていない場合は、使い慣れているエディタを選択してください。
「Next」ボタンをクリックします。


Gitで新規リポジトリの初期ブランチ(新しいプロジェクトを始めるときに最初に作られる作業場所)の名前を何にするかを選ぶ画面です。デフォルト設定は「Gitに自動的に名前を決めてもらう」です。
そのままで問題ないので、「Next」ボタンをクリックします。


Gitを扱ううえでのPATHの設定をする画面です。
デフォルト設定のままで「Next」ボタンをクリックします。

ここでいうPATHとは、簡単に説明するとWindowsが「この名前のアプリはどこにある?」と探すときに見る“住所録”です。
この“住所録”にGitフォルダを登録すると、どのツールからでもgitコマンドが呼び出せるようにできます。
Use Git from Git Bash only
- Git Bash(Gitに付属の黒い窓のターミナル)からだけ
git
を使える設定。 - Windowsのコマンドプロンプト(CMD)やPowerShell、VS Codeのターミナル等からは使えません。
- いちばん慎重(PATHを触らない)ですが、後で不便になりがち。
Use Git from the command line and also from 3rd-party software(おすすめ)
git
をWindows全体で使えるようにします。- CMD、PowerShell、Windows Terminal、VS Code / Cursor のターミナル、他のツールからも
git
が使えます。 - 余計なUnix系ツールは入れず、Windowsの標準コマンドを壊しません。初心者はこれでOK。
Use Git and optional Unix tools from the Command Prompt
git
に加えて多数のUnix系コマンドも一緒にPATHへ入れます。- その結果、Windows標準の
find
やsort
などが上書きされる場合があり、初心者には混乱の元。 - 特別な理由がある人向け。

GitがSSH(サーバーに安全に接続する仕組み)を使うとき、どのプログラムを利用するかを選ぶ画面です。
「Use bundled OpenSSH」で問題ないので、「Next」ボタンをクリックします。


HTTPSで通信するときにどの暗号化ライブラリを使うかを設定する画面です。
デフォルト設定で問題ないので、「Next」ボタンをクリックします。


テキストファイルの“改行コード”をどう扱うかを決める画面です。
改行にはOSごとに違いがあり、Windows=CRLF(\r\n)/Mac・Linux=LF(\n) を使います。混ざると、実質中身が同じでも差分が大量に出てしうので、Gitに“自動変換”させるかどうかをここで選びます。
デフォルト設定(取得/checkout時はCRLFに、保存/commit時はLFに自動変換)がおすすめです。
「Next」ボタンをクリック。


Git Bashをどのターミナルソフトで扱うかを決める画面です。
デフォルト設定で問題ないので、そのまま「Next」ボタンをクリック。


「git pull」コマンドを実行した際の処理方法を決める画面です。
デフォルト設定で問題ないので、そのままにして「Next」ボタンをクリック。


Gitを使うにはIDとパスワードが必要です。毎回入力するのは面倒なので認証情報を記憶する仕組みを利用する(デフォルト設定)のがおすすめ。
そのままにして「Next」ボタンをクリックします。

その他オプション機能の設定画面です。
デフォルトでチェックが入っている「Enable file system caching」(ファイルシステムのキャッシュを有効化)はGitの動作を速くしてくれるのでおすすめ。
そのままにして「Install」ボタンをクリックします。


Gitのインストールが行われます。


これでGitのインストールが完了しました。「Launch Git Bash」にチェックを入れておくと、セットアップ終了後に「Git Bash」が自動で起動します。
「Finish」ボタンをクリックすればセットアップ終了です。お疲れさまでした!

Git Bashを起動してインストールを確認する
インストールが完了したら、実際にGitが動作するかを確認します。スタートメニューから「Git Bash」を探して起動し、下記コマンドを入力してください。「git version 2.x.x」のようなバージョン情報が表示されれば、インストールは成功です。
git --version



※もしエラーメッセージが出る場合は、PATH設定に問題がある可能性があります。その場合はインストーラーを再実行して、環境変数の設定をやり直すと解決できることが多いです。
インストール後に最低限やっておきたい3つの初期設定

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- ユーザー名とメールアドレスの設定
- 改行コードの設定(Windowsと他環境の違いを意識)
- 設定が反映されているか確認する方法
Gitはインストールしてからすぐに使うこともできますが、最低限の初期設定を済ませておくことで今後の作業が格段にスムーズになります。特にユーザー名とメールアドレスはコミット履歴に必ず記録されるため、最初に設定しておくのがおすすめ。さらに、改行コードの扱いを調整することで他の環境との互換性を確保でき、トラブルを未然に防げます。
ユーザー名とメールアドレスの設定
Gitでは、コミットを行うたびに「誰が変更したのか」という情報が記録されます。そのため、最初にユーザー名とメールアドレスを設定しておくことが重要。でないと、他人と作業を共有するときに「誰の作業なのか」が分からなくなって履歴の管理が難しくなってしまいます。
Git Bashで以下のコマンドを入力します。
git config --global user.name "あなたの名前"
git config --global user.email "あなたのメールアドレス"

ここで指定した内容は、今後のコミットすべてに反映されます。特にGitHubなど外部サービスを利用する場合は、GitHubアカウントに登録しているメールアドレスと同じものを設定すると、コミットが正しくリンクされるためスムーズです。最初に済ませておくことで、後々のトラブルを防げるでしょう。
改行コードの設定(Windowsと他環境の違いを意識)
WindowsとLinuxやmacOSでは、改行コードの扱いが異なります。この違いを放置すると同じファイルを共有したときに不要な差分が発生するので、チーム開発では混乱のもと。そこで、インストール直後に改行コードの設定をしておくことが推奨されます。
Git Bashで以下のコマンドを入力します。
git config --global core.autocrlf true

これでWindowsで作業したファイルは、コミット時に自動的にUnix形式(LF)へ変換されます。その結果、Linuxやクラウド環境で利用する際も問題が起こりにくくなります。初心者にとっては細かい点に思えるかもしれませんが、後のトラブル防止につながるため、必ず設定しておきたい項目。
変更が反映されているか確認する方法
ユーザー名やメールアドレス、改行コードの変更が正しく反映されているかを確認します。誤った情報のまま作業を続けると、後から修正が必要になり手間が増えるため、最初にチェックしておきましょう。
Git Bashで次のコマンドを入力します。
git config --list

実行すると設定した内容が一覧表示されるので、「user.name」や「user.email」、「core.autocrlf」が正しく反映されているか確認しましょう。もし誤って入力されている場合は、同じコマンドを再度実行して正しい値を指定すれば修正できます。細かいことですが、後々のトラブルを防ぐ安心材料となります。
インストールでつまずいたときの解決策3選

この章で扱う主なポイントは以下のとおりです。
- 「git: command not found」と出る場合
- PATH設定に問題がある場合の修正方法
- アンインストールしてやり直す手順
Gitのインストールは基本的にスムーズに進みますが環境によってはエラーや不具合に遭遇することがあり、特に初心者は「どこでつまずいているのか分からない」と不安になりがちです。トラブル時の対処法を知っておくことで、安心して導入を進められるでしょう。
「git: command not found」と出る場合
インストール後にGit Bashやコマンドプロンプトでgit --version
を入力した際、「git: command not found」と表示されることがあります。これはGitが正しくインストールされていないか、環境変数PATHが正しく設定されておらずシステムがGitを認識できていない状態。
多くの場合、原因は「環境変数PATH」にGitの実行ファイルが追加されていないことです。インストール時にPATH設定を有効にしなかった場合にこのエラーが出やすくなります。解決策としては、再度インストーラーを実行し、「PATHにGitを追加する」という項目を選択してインストールし直す方法がもっとも簡単。
初心者にとっては戸惑うエラーですが、焦らず再インストールすれば解決できます。大きなトラブルではないため、安心して対処してください。
PATH設定に問題がある場合の修正方法
Gitをインストールしたのにコマンドが認識されない場合、環境変数PATHの設定を手動で修正する方法もあります。PATHはWindowsがプログラムを探す場所を示すリストで、ここにGitのフォルダが含まれていないとコマンドが動作しません。
修正手順は以下のとおりです。
- Windowsキー+R を押し「sysdm.cpl」と入力して実行します。
- 「システムのプロパティ」が開いたら、[詳細設定] タブを選び [環境変数] をクリックします。
- 「システム環境変数」の中にある「Path」を選択し、[編集] を押します。
- Gitをインストールしたフォルダ(例:
C:\Program Files\Git\bin
)を追加し、保存します。
この設定を行った後に再度ターミナルを開き、git --version
を入力して正しく動作するか確認しましょう。PATHを修正すれば、多くの認識エラーは解決できます。
アンインストールしてやり直す手順
インストール時の選択ミスや設定不備が原因で問題が特定できなかったり解決できない場合は、一度アンインストールして再インストールするのが確実。複雑なトラブルに直面して悩むより、最初からやり直したほうがスムーズに解決できるケースは多いです。
アンインストールの手順は以下のとおりです。
- スタートメニューから「コントロールパネル」を開きます。
- 「プログラムと機能」を選択し、一覧から「Git」を探します。
- Gitを選択して [アンインストール] をクリックします。
その後、公式サイトから最新版のインストーラーを再ダウンロードしてインストールし直します。最新バージョンを導入することで、以前の不具合が解消される可能性も高まります。
まとめ:最短でWindowsにGitを導入して学習を始めよう
Gitのインストールは、初心者にとって最初のハードルに感じられるかもしれません。しかし、手順を整理すればダウンロードから設定確認までシンプルに進められます。学習環境を整えることで、安心して次のステップに進めるでしょう。
本記事の要点をあらためてまとめます。
以上を押さえれば、Gitの導入で不安になる必要はありません。まずはWindowsへのインストールから始めて、学習や実務で一歩踏み出してみましょう。